新しい私に出会う服 #2 | 「SOSHI OTSUKI」を纏う

Keitatsu Koshiyama

新しい私に出会う服 #2 | 「SOSHI OTSUKI」を纏う

Keitatsu Koshiyama

俳優 越山敬達が
「SOSHI OTSUKI」を纏う

 新しい服に袖を通したときに感じる小さな喜び、美しい服を纏ったときの高揚感、いつもとは違う装いに身を包んだときの新たな自分に出逢ったような感覚──ファッションには、着る人の心にときめきや楽しさを、時には何かに立ち向かう強さや自信を与えてくれる、そんなささやかで大きな力がある。では、これから何色にも染まりゆく可能性を秘めたフレッシュな若手俳優が、個性と感性豊かな次世代を担う日本ブランドと出逢ったとき、そこには一体何が生まれるのか。

 俳優自身が心惹かれた一着を通して新たな自分に出逢いときめく瞬間を、ブランドのアトリエを舞台に撮り下ろすファッションストーリー。第1回は、芸歴10年以上の実力を備えドラマ・映画問わず活躍している俳優 川島鈴遥が、着る人の個性に寄り添い人間味を引き出すブランド「コウタグシケン(Kota Gushiken)」を纏う。

「普段の自分とは遠いのにどこか近い」
川島鈴遥が出逢った“新しい私”

 今回選んだコウタグシケンさんの服は、見た瞬間に「これだ」と感じたというか、自分が着ている姿をパッと想像できたんです。普段黄色はあまり選ばないのですが、だからこそ惹かれたし「この服を着たらワクワクするだろうな」と思いました。オーバーサイズのニットベストをワンピースのように1枚で着るというスタイリングも、自分では想像できなかったので新鮮だしとてもかわいくて。実際に着てみたら、普段の自分のスタイルとは遠いのにどこかナチュラルな素の自分に近いような、すごく不思議な感覚になりました。

 普段の私はそんなに頑張らずに着られる楽な服装が好きなので、シンプルでカジュアルなファッションが多いです。以前は、自分が人からどういう印象を持ってもらいたいかという基準で服を選んでいましたが、最近は自分が好きな系統やその日の気分を服に投影して、「こうありたい」というイメージを想像して選ぶようになりました。

 ファッションの撮影とお芝居での表現は、実は私にとってはあまり違いがないんです。お芝居をするときも演じるのは結局奥にある“自分”なので、纏っているのが役でも服でも、自分がそこに素直に存在していればいいと考えていて。だから、今日の撮影でもあまり深く考えずにフォトグラファーさんとお話ししながら、その瞬間に自分の中から出た自然な感情を大切にした、素直な表情や姿を引き出してもらったように思います。

「等身大に近い俳優」川島鈴遥の現在地

 なりたい人間像は、“自分らしくいられる人”。自分の中に揺るがない芯のようなものを持っていたら、人からどう見られるかに囚われず、もっと楽しくオープンに生きられるようになるんじゃないかなと思うんです。ファッションや趣味も含め、誰かから影響を受けるよりも、自分の「好き」にちゃんと敏感になってそれを大きな声で「好き」と言える、そんな自分らしさを持った人になりたいです。

 今の私はまだそれを見つけている最中なのですが、最近は一人で家で水彩画を描いたり、音楽に合わせて自由にダンスを踊ったりしています。どちらも元々は触れてこなかった分野なので苦手だと思っていたものの、いざやってみたらすごく好きで。人に見せられるほど上手いわけではないですが、自分の中では「好き」なので大事にしていきたいなと思っています。でも、絵を描き始めるとつい夢中になってしまって、夜寝られないというのが最近の悩みです(笑)。
 また別の手紙で中也は『自分自身でおありなさい。弱気のために喋舌(しゃべ)つたり動いたりすることを断じてやめなさい。断じてやめようと願ひなさい。そしてそれをほんの一時間でもつづけて御覧なさい。すればそのうちきつと何か自分のアプリオリといふか何かが働きだして、歌ふことが出来ます』という言葉を泰子に贈っている。

 広瀬は14歳で芸能界の道に進み、芸歴は10年以上。現在26歳、広瀬にとって中也の言う「自分自身である」とはどういうことなのだろうか。

 「世間で思われているイメージと自分のギャップみたいなものに対して、すごく不器用にモヤモヤしていた時がありました。でも、どんなに考えても、無理して頑張ってみても、変われないものなんだろうなと思って。“諦め”の境地に入ったら、すごくいい意味で何も気にならなくなりました。もう『目の前にいる人たちさえわかってくれたら良くないか』と。誰にどう思われていようが、自分が真面目に素直に生きてさえいたら、きっと伝わるだろうし」

 「『気にしたってしょうがない!』と自分に言い聞かせながら、内心結局モヤモヤすることもありました。なのでもう“『気にしない』とすら思わない”みたいな境地です(笑)。ある意味楽をすることを覚えたら、頑張りすぎないとか、ちょっと力を抜くとか、自分なりにバランスがやっと取れるようになって。はじめて心から『肩の荷が下りた、軽くなった!』と思えたんです。そこからはもう全然気にしていないですね。次第に性格もオープンになっていって、自分の役への解釈を監督へ伝えることなど、これまでは周りの目を気にして恥ずかしがっていたような意見出しも、少しずつできるようになっていきました」

 ラストシーンの泰子は、ボリュームのあるファーを肩に掛け、さながらパワーショルダーのようなシルエットの喪服姿を見せる。これは作中でも特に印象的に描かれる「服」だ。

 「家で1人で泣いた後、あんなに派手な喪服を着て会いに来るんだから、本当にとんでもない人。でも自分の肩を強く見せないと折れてしまいそうな弱さがちゃんとある人だから、少しでも自分を大きく見せていたのかも知れません。図々しくて、弱さと自分の感情を隠している」
 広瀬自身の「弱さ」と「弱さを隠すこと」についても聞いてみた。

 「結構“強い“と思われやすいタイプなので、もう弱みを見せるのも恥ずかしくなってきちゃって。さらに我慢強いから、弱い部分を見せるのは避けがちです。図星なことを言われたりすると、結構食らっちゃう時もありますが。でも弱い瞬間って誰しもあるだろうし、それを弱さだと捉えるかどうかも人それぞれだからこそ、隠そうとか、見せようとか、そういうものでもないんだろうなと。自然に向き合っています」

 中也の妻 孝子が「陰で中也を支えた」と称されるのと対照的に、目を離せない“危うい閃光”のように中也や小林の心を突き動かした泰子。時代の寵児であった中也と小林を中心にした見方ではしばしば「悪女」扱いを受ける泰子のことも、同作は「1人の青春物語の主人公」として、ある種の清々しさをもって描く。

 「悲しくても、時間が止まっているのは違う、という解釈で中也の死に対峙しています。そういう姿勢でいられたのは、泰子自身がちゃんと真面目にまっすぐ生きている心地がしたからなのかも知れないし、お芝居をしている瞬間や男性に頼らずに暮らせている瞬間に生きているって感覚があったからなのかも知れません」

 タイトルの「ゆきてかへらぬ」は、中也の遺作となった詩集『在りし日の歌』に収録された詩の題でもある。人生は後戻りができない。この「ゆきてかへらぬ」という言葉に、広瀬はどんなイメージを持っているのか。

 「泰子は結局中也でも小林でもない方と結婚しますが、多分中也の奥さんよりも自分の方が彼のことを理解していると思っているだろうし、一緒に居なくても、運命共同体みたいな2人だったと思う。だから、絶対に死んじゃったら意味ないけど、でも少しだけどこか楽になったかもしれません。他に替えるものがない2人だったからこそ、時が戻らないからこそ、その先に“続き”があるような気もしますけどね」
Information
映画「ゆきてかへらぬ」
公開日:2025年2月21日(金)
上映館:TOHOシネマズ 日比谷 ほか
監督:根岸吉太郎
脚本:田中陽造
出演:広瀬すず、木戸大聖、岡田将生/田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本佑
配給:キノフィルムズ
公式サイト
©2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
あらすじ
京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子(広瀬すず)は、まだ学生だった中原中也(木戸大聖)と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。
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shevronshevron
衣装:ジャケット 7万9200円、スカート 6万6000円/ いずれもコブルドゥ(コブルドゥ | info.cobbledu@gmail.com)、ブーツ 20万9000円/クリスチャン ルブタン(クリスチャン ルブタン ジャパン | 03-6804-2855)、その他(スタイリスト私物)
photographer: Tomoyo Tsutsumi
styling: Akira Maruyama
hair&makeup: Masayoshi Okudaira
text&edit: Chikako Hashimoto(FASHIONSNAP)
direction: Mina Jokoji (FASHIONSNAP)
web design : Tadashi Hirohata(FASHIONSNAP)
Published on: 2025.02.03
hirose suzu

俳優 越山敬達が
「SOSHI OTSUKI」を纏う

 新しい服に袖を通したときに感じる小さな喜び、美しい服を纏ったときの高揚感、いつもとは違う装いに身を包んだときの新たな自分に出逢ったような感覚──ファッションには、着る人の心にときめきや楽しさを、時には何かに立ち向かう強さや自信を与えてくれる、そんなささやかで大きな力がある。では、これから何色にも染まりゆく可能性を秘めたフレッシュな若手俳優が、個性と感性豊かな次世代を担う日本ブランドと出逢ったとき、そこには一体何が生まれるのか。

 俳優自身が心惹かれた一着を通して新たな自分に出逢いときめく瞬間を、ブランドのアトリエを舞台に撮り下ろすファッションストーリー。第1回は、芸歴10年以上の実力を備えドラマ・映画問わず活躍している俳優 川島鈴遥が、着る人の個性に寄り添い人間味を引き出すブランド「コウタグシケン(Kota Gushiken)」を纏う。

「普段の自分とは遠いのにどこか近い」
川島鈴遥が出逢った“新しい私”

 今回選んだコウタグシケンさんの服は、見た瞬間に「これだ」と感じたというか、自分が着ている姿をパッと想像できたんです。普段黄色はあまり選ばないのですが、だからこそ惹かれたし「この服を着たらワクワクするだろうな」と思いました。オーバーサイズのニットベストをワンピースのように1枚で着るというスタイリングも、自分では想像できなかったので新鮮だしとてもかわいくて。実際に着てみたら、普段の自分のスタイルとは遠いのにどこかナチュラルな素の自分に近いような、すごく不思議な感覚になりました。

 普段の私はそんなに頑張らずに着られる楽な服装が好きなので、シンプルでカジュアルなファッションが多いです。以前は、自分が人からどういう印象を持ってもらいたいかという基準で服を選んでいましたが、最近は自分が好きな系統やその日の気分を服に投影して、「こうありたい」というイメージを想像して選ぶようになりました。
 ファッションの撮影とお芝居での表現は、実は私にとってはあまり違いがないんです。お芝居をするときも演じるのは結局奥にある“自分”なので、纏っているのが役でも服でも、自分がそこに素直に存在していればいいと考えていて。だから、今日の撮影でもあまり深く考えずにフォトグラファーさんとお話ししながら、その瞬間に自分の中から出た自然な感情を大切にした、素直な表情や姿を引き出してもらったように思います。

「等身大に近い俳優」川島鈴遥の現在地

 なりたい人間像は、“自分らしくいられる人”。自分の中に揺るがない芯のようなものを持っていたら、人からどう見られるかに囚われず、もっと楽しくオープンに生きられるようになるんじゃないかなと思うんです。ファッションや趣味も含め、誰かから影響を受けるよりも、自分の「好き」にちゃんと敏感になってそれを大きな声で「好き」と言える、そんな自分らしさを持った人になりたいです。
 
 今の私はまだそれを見つけている最中なのですが、最近は一人で家で水彩画を描いたり、音楽に合わせて自由にダンスを踊ったりしています。どちらも元々は触れてこなかった分野なので苦手だと思っていたものの、いざやってみたらすごく好きで。人に見せられるほど上手いわけではないですが、自分の中では「好き」なので大事にしていきたいなと思っています。でも、絵を描き始めるとつい夢中になってしまって、夜寝られないというのが最近の悩みです(笑)。
Information
映画「ゆきてかへらぬ」
公開日:2025年2月21日(金)
上映館:TOHOシネマズ 日比谷 ほか
監督:根岸吉太郎
脚本:田中陽造
出演:広瀬すず、木戸大聖、岡田将生/田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本佑
配給:キノフィルムズ
公式サイト
©2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
あらすじ
京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子(広瀬すず)は、まだ学生だった中原中也(木戸大聖)と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。
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衣装:ジャケット 7万9200円、スカート 6万6000円/ いずれもコブルドゥ(コブルドゥ | info.cobbledu@gmail.com)、ブーツ 20万9000円/クリスチャン ルブタン(クリスチャン ルブタン ジャパン | 03-6804-2855)、その他(スタイリスト私物)
photographer: Tomoyo Tsutsumi
styling: Akira Maruyama
hair&makeup: Masayoshi Okudaira
text&edit: Chikako Hashimoto(FASHIONSNAP)
direction: Mina Jokoji (FASHIONSNAP)
web design : Tadashi Hirohata(FASHIONSNAP)
Published on: 2025.02.03